こくまろ物語 第3章



2005年8月16日 (火) 10時47分15秒
[名前] : 豹極夏彦
こくまろ物語 〜第三章〜

熟はMasumiを自分に引き付けてこくまろ達を先に行かせようとした。しかし、Masumiはどす黒い血で濡れた何本もの髪の束を鞭のように操り、こくまろ達を物凄い形相でにらみ、こう言った。
Masumi「おや、誰が逃げていいと言ったのかしら?
    あなた達はみんなここで死ぬのよ。
    そして私の具になるの。アッハハハハ…。」
熟「あらそう、そっちがその気なら…。」

熟は新たな力を解放するため華麗なる変身を遂げた。
清潔な包帯で巻かれ引き締まったボディー、艶やかな長い金髪、そしてその目には、正しき心が映っていた。
どす黒い包帯で巻かれたミイラ戦士にされていた事が嘘だったかのように輝いており、「至高のミイラ」となった今の熟はまるで天使のようだ。


2005年8月16日 (火) 10時51分11秒
[名前] : 豹極夏彦
熟「Masumi、覚悟なさい、今夜のディナーはあなたじゃないわ!!」
こくまろ「賑やかな食卓や、お祭りから大勢の人の命と笑顔を奪ったお前を、俺達は絶対に許さない!!」
ジャワ「食い物に毒を入れ、今では人を食うお前はもはや人にあらず。よって、これよりお前を鎮圧する!」
マルシェ「私を忘れてもらっては困るわ。」
Dr.ハヤシ「私は援護に回るとしよう。」
こくまろ「よし、連携攻撃で一気に決めるぞ!」
先陣を切ったのは熟だった。
熟は清潔な包帯をMasumiに射出した。それに応じてMasumiは血染めの包帯を何本も熟に伸ばした。
さらに熟は“金髪毛髪鞭(ブロンド・ウィップ)”を伸ばしてMasumiの首を狙うが、Masumiは“血みどろ毛髪鞭(ブラッディー・ウィップ)”で相殺。
ミイラ戦士同士なだけあって、類似した技を持つ。
だが、次の瞬間、Masumiが不気味な笑みと共に不可解な技を繰り出した。
Masumi「毒技・鴉羽根の舞!!」
熟「うっ!? 私にそんな技はない!」


2005年8月16日 (火) 10時54分31秒
[名前] : 豹極夏彦
突然、Masumiの頭上に現れた鴉の形をした黒い影から無数の黒い羽根が乱射され続けた。
ジャワ「くらえ、ココナッツバルカン&ガトリングブラックペッパー!
    こくまろ、今のうちにMasumiの心を読むんだ!早く!」
こくまろ「分かった。フードスキャン…。」

ジャワ自慢の香辛料銃火器類の弾幕は黒い羽根を次々に打ち落とすが、打ち落とせなかった羽根はジワジワと熟、ジャワ、マルシェに刺さっていく。
ジャワの銃火器にも弾数には限りがある。
弾が尽きたら補充しなければならないことをジャワは知っていた。
ジャワ「くっ、このままでは確実にやられる…!」

  〜こくまろが見たMasumiの心の中〜
テレビの砂嵐のような光景…
時折、断片化された風景が映る…
町内の祭りの最中、カレーの大鍋…
そこに中年の女性が現れ、謎の薬品を鍋の中に…
真っ赤に染まるまな板と息絶えた黒い鳥…
その女性は黒い鳥の足を掴み、鍋の中へ!!…
……・・ ・


2005年8月16日 (火) 10時58分35秒
[名前] : 豹極夏彦
あまりにおどろおどろしい状況が脳裏に映り、こくまろは動揺した。
Masumiはその隙を見逃さなかった。
スキャンされているにもかかわらずMasumiの心は、心を通じてこくまろの心の中に逆流してきた。
Masumi「そうさ、今あんたが見た通り、カレーの中に砒素を入れたのはこの私さ。
    そしてついでに鴉も鍋に放り込んでやったよ。
    アハハハ…」

こくまろ「うわぁぁぁぁぁ〜〜!! やめろ〜!!」
こくまろのフードスキャンは破られた。
カレーの精と融合した者にとってカレーが不味く味付けされたり、食べられないような状態にされるのを見るのは精神に物凄い負荷となるのだ。
フードスキャンが解除された際、こくまろは強い力で弾き飛ばされた。
そしてジャワの銃火器もついに弾切れしてしまった。
ジャワ「ううっ、弾切れか!! ぐわぁ〜〜!!」
Masumiの鴉羽根の舞はジャワ、熟、マルシェが地面に倒れるまで放ち続けられた。
Dr.ハヤシは実質、戦闘に加わっていないため、攻撃対象にならずに済んでいる。


2005年8月16日 (火) 11時04分14秒
[名前] : 豹極夏彦
Dr.ハヤシ「みんな、しっかりしろ。何て事だ!
      あいつにはすでに良心のかけらも残されていないというのか!」
熟「このままでは、またあいつの攻撃を受けるのも時間の問題よ。
  マルシェ、本部にいる者に連絡して“あれ”をここに送ってもらって。」
マルシェ「えっ?まさか、本当に使う気?
     あれを使ったら下手すれば再起不能になるのよ?」
こくまろ「げほっ、げほっ、たとえ再起不能になろうとも、ここから先に進めないのでは意味がない。
     フードスキャンが破られた今、俺達に残された手はあれを使うしかない!!」

ボロボロになりながらも、なお立ち上がろうとするこくまろの壮絶な気迫に一同、呆然とするが、次の瞬間には皆、決意が固まった。
ジャワ「ならばやってやろうではないか。
    お国のために!」
Dr.ハヤシ「頼んだぞ、みんな。
     食卓の未来は君達にかかっている。
     でもこれだけは約束だ。
     必ず生きて再び立ち上がる事!」


2005年8月16日 (火) 11時10分41秒
[名前] : 豹極夏彦
マルシェは本部に連絡を取り、“あれ”と呼ばれる謎の装置を送るように手配した。
まもなくそれはバーモントと共に到着した。
バーモント「お待たせしました、さあ、中へ入りましょう。」

“あれ”と呼ばれた装置、その名は水分子振動加熱棺(通称・電子レンジ)である。カレーをはじめとする食べ物の精と融合した戦士を中に入れ、開始ボタンを押す事で装置が発動する。
戦士達は棺の中でマイクロ波や食卓からの声援を浴び、心の中にある食べ物の美味しさを極限まで引き出した状態になる事が可能となる。
しかし一歩間違うと心の制御が出来なくなり、食べ物の精が消失してしまうため、戒めを込めて、名前の最後に棺桶を表す「棺」が付けられているのだ。

Masumi「おっと待ちな、そうはさせないよ。」
マルシェ「こくまろ達の邪魔は私が許さないよ!」


2005年8月16日 (火) 11時25分22秒
[名前] : 豹極夏彦
マルシェはMasumiめがけて茶色の球状の小さなキノコを投げつけた。
しかし、そのうちの大半はMasumiの血みどろ毛髪鞭になぎ払われてしまった。
Masumi「こんな物で私が倒せると思っているの?
    甘いわね。」
マルシェ「甘いのはあなたよ。
     今私が投げたのはツチグリというキノコ。
     これを潰せば中から粉状のキノコの胞子が空気中に舞い上がり、あなたの周囲を囲む。」
Masumi「周りが見えない!ええい、こんな煙ごときに。」
マルシェ「さあ、今のうちに。」
熟「助かったわ、マルシェ。」


2005年8月16日 (火) 11時28分05秒
[名前] : 豹極夏彦
こくまろ、熟、ジャワ、バーモントは水分子振動加熱棺に入り、気合の入った掛け声と共に装置が稼動し始める。
4人「華麗なる勝利を我らに…!」

装置の中ではこんなBGMが流れていた。
♪「てるてる坊主がしくじって
  どしゃ降り 海へ行けないよ
  でもカレーを食べたら太陽が
  体の中から光りだす〜
  夏に効くカレー

  ぐったり疲れたお兄ちゃん
  これが夏バテって言うのかな〜
  でもカレーを食べたら太陽が
  体の中からパワーをくれる〜
  夏に効くカレー」

水分子振動加熱棺による美味しさの開放は5分間の時間を要する。
食物戦士による装置の破壊は困難なため、その間、マルシェは完全にMasumiの集中攻撃を受けることになる。
煙幕を払うため、Masumiは荒技を出す。
Masumi「毒技・下水散布!」

そう叫ぶと、Masumiの口からホースが伸び、周囲に散水した。
そして水飛沫はマルシェにもかかった。
これにより、煙幕は流れてしまう。
マルシェ「そんな! ツチグリの煙幕胞子が消されたなんて。」


2005年8月16日 (火) 16時08分39秒
[名前] : 豹極夏彦
マルシェに忍び寄るMasumi。
血みどろ毛髪鞭がマルシェの首にゆっくりと巻きついていく。
マルシェは水飛沫がかかっていて、すでにぐったりしている。
Masumi「あなたの命運もここまでね。ほな、さいなら。」

次の瞬間、何者かの日本刀が血みどろ毛髪鞭を引き裂く。
Masumi「むむ、何奴!?」
ZEPPIN「拙者はZEPPINと申す。
    お嬢さん、ここは任せな。
    Masumi=ハヤシ、拙者は確かに感じたぞ、お前の悪行三昧。
    お前のような者がおるから拙者の故郷・グリコで毒物混入騒ぎなどが起こるのだ。」
Masumi「お前は社長の傭兵ではないか。社長を裏切ったらどうなるか分かっているな?」
ZEPPIN「それはおぬしらを欺く為。武士たる者、悪党に助太刀する理由などござらん。」
Masumi「じゃあ、あなたも地獄へお行きなさい。」


2005年8月16日 (火) 16時11分39秒
[名前] : 豹極夏彦
Masumiは鴉羽根の舞を放つが、ZEPPINが構えた日本刀・芳香刃と仏蘭西剣・デュクセルソードによる和洋折衷の剣術により完全に無力化された。
Dr.ハヤシ「強い、あの鴉羽根の舞をいとも簡単に受け流してしまうとは!」

そうしているうちに水分子振動加熱棺の扉が開いた。
中からキツネ色に輝く4人の姿が現れた!
ジャワはZEPPINに向かって敬礼し、こう言った。
ジャワ「ZEPPIN殿、ご協力感謝する!」
ZEPPIN「拙者は正義を貫いたまでの事。礼には及ばん。」
熟「積もる話は後よ。今はあいつを倒すのが先。」
バーモント「ククレ主任とボンのかたき、討たせてもらいます!」
こくまろ「今度こそ、俺は貴様を倒す!」
Masumi「出来るものなら、ほれ、やってみるがいい。」

一時的に美味しさを極限まで高めた状態の4人とZEPPINは一斉にMasumiに攻撃を開始した。
Masumiは鴉羽根の舞、血みどろ毛髪鞭、血染めの包帯、下水散布を一斉に繰り出した。
しかしMasumiの攻撃はもはや5人には通じない。


2005年8月16日 (火) 16時15分34秒
[名前] : 豹極夏彦
ジャワ「鷹の爪、装着完了。食らえ、レッドホットクロー!」
鴉羽根の舞を放っていた鴉は両翼が引き裂かれ、地面に落下した。

バーモント「林檎の礫&ハニーオーラ!」
蜂蜜をかけられたMasumiは鞭も包帯も思うように操れない。
そこへ角切り林檎のブロックが容赦なく衝突した。

ZEPPIN「その禍々しいものは全て切り落としてやる!」
和洋折衷の剣術により、血みどろ毛髪鞭、血染めの包帯、口から伸びたホースは全て切り落とされた。

熟は清潔な包帯と金髪毛髪鞭でMasumiを縛り上げた。
こくまろ「食らえ、最後の晩餐!」

こくまろは極限まで旨味を追求したカレーが一口乗った光輝くスプーンを右手に構え、身動き出来ないMasumiの口へ突っ込んだ。
Masumiは歯を閉じて抵抗するが、こくまろのスプーンは歯を砕き、口腔内へカレーを押し込める事に成功した。


2005年8月16日 (火) 16時20分46秒
[名前] : 豹極夏彦
こくまろ「俺達が不味く味付けされた食べ物を目の当たりにするのが苦痛なように、お前らは美味い物を目の当たりにする事こそが最大の弱点。
     人の笑顔の尊さを知らぬお前に明日は無い!」
Masumi「うぎゃぁぁぁ〜 や、やめろ〜…・・ 」
Masumiは懸命に舌でスプーンを押し戻そうとしたが、こくまろの意志の方が強かったため、Masumiの舌がバランスを崩した瞬間、スプーンはMasumiの首の骨を1本ずらすまでに至った。
その瞬間、ボキッという鈍い音と共に、Masumiは首から下が動かなくなった。
熟「まだだ、まだ終わっちゃいないよ。
  こんな反省しない奴、カレーの具にでもしちまいな!」

そう言って熟はグツグツと煮えたぎったカレーのルーが入った寸胴鍋をどこからか持ってきて、縛り上げたままのMasumiをそのまま寸胴鍋の中に浸していった。


2005年8月16日 (火) 16時23分00秒
[名前] : 豹極夏彦
Dr.ハヤシ「今、Masumiが“I’ll be back !”と言った気がしたが、気のせいか?」
バーモント「まさか、先生、映画の観すぎですよ。」
一同「はっはっはっはっ。」

新たな仲間とともに辛うじてMasumiを倒したこくまろ達。
今回の戦いで力不足を感じた一同。
逃走した社長=カレーの王子様の行方はいかに。
そしてMasumiが従えていた鴉の足に付いていたカプセルの中にあった謎のメモとは!?

こくまろ「何だって!! あのリレーが社長の殺人スパイス計画を阻止できる唯一の部品だと!?」

乞うご期待!!